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イレに炊飯器。それはちょっと。
天気のいい昼下がり、飼い犬のゴローを連れ、いつものように散歩に出かけた。ゴローは自分の首を絞め、息が苦しくなるのも構わずに、引き綱をグイグイと引っ張り、散歩の定番コースである中央緑地へと向かった。
緑地公園は初夏にさしかかり、緑の色がとても濃くなってきており、青くさい新緑のにおいが立ちこめ、普段よりちょっと感じのいい場所になってきつつある。
その中を生き急ぐように前へと進む、気の弱いゴローは散歩に来ている他の犬を見ると、相手が強そうならば吠え、弱いと見ればかなり強気で吠える。とにかく吠えるのだ。
ウンテクマスター(逃さない)
そんなゴローは、ウンチをする時は目標地点を定め、ぐるぐると回り始める。何度か回転すると止まり、プルプルと震えながらウンチを出し始める。その時は本当に申し訳なさそうな、なんともせつない表情を見せるのがおかしい。その時に必ず私は「ウンチ取り袋」を、ゴローのおしりにかざし、出てきたものを受け止める。家まで持って帰ってもいいのだが、あまり持ち歩きたい代物ではないので、いつからかそれを公衆便所で流して、手ぶらで帰るようにしていた。
その日も私は、ゴローのウンチを流そうと、障害者用のトイレに入った。(普通のトイレより空いている率が高いため)すると、そこの床には炊飯器が置かれていました。
なんだか、「おじゃまします」と言わねばならない気が
公衆便所なのに、よく知らない人の家に上がり込んだような、なんとも居心地の悪い気分になりました。「それにしても炊飯器って…」トイレでしか電気がかっぱらえないんだろうか。生きていくためには仕方がないとも思いました。しかし、元は同じ水道でも、学校に行っていた時、決してトイレの蛇口からは飲めなかった私には、きっと、これは気にならないではなく、「気にしてなどいられない」のだろうと、だろうだろうを頭の中で連発してしまいました。
プリケー二個
でも、待てよ…これは…充電中の携帯電話じゃないか。住所がないからやっぱりプリケーか。しかし、携帯電話を持ち、トイレで炊飯するホームレスの姿をいまいち思い浮かべられない私であった。でも、ホームレスの人ほど携帯がないと不便じゃなかろうか。決まった住所も連絡先もないんだから。携帯を持っていることがどうしてオカシイと感じたのだろうか。ごめんなさい…ゴローのウンチをそっと流し、なぜか記念に写真を撮っている私であった。
家に帰り、ゴローに水をやってからこの写真をパソコンに取り込んだ。トイレではあまり気にしなかったが、写真に写り込んでいた、携帯の下に置かれた漫画のことが気になった。さっそく調べてみることにした。

漫画は一度絶版になっており、どうやら廉価版での再発らしい。探すのには苦労した。写真ではハッキリと写っていなかったこともあり、なかなか目当てのものが見つからなかったのは、ケイの「青春」で探していたからだ。正解は「凄春」であった。紛らわしい。当て字はやめて欲しいものである。
“ケイの凄春”
ISBN4-88315-850-0 定価600円
原作:小島剛夕・小池一雄のコンビ作品 代表作「ぶれいボーイ」、KILL BILLでフューチャーされた「修羅雪姫」「子連れ狼」など。
あらすじ:行方の分からない、自分の愛するものを探すために、武士という地位を捨て、命を賭して探し続ける男の話。主君に対して、無理を承知で(暇をもらいたいと言うことは、切腹を命じられても仕方がないことだから)懇願して、どうにかそれを許される…主人公には「ひきょう傷」があるそうである。
小池一夫のサイト。自分の出版社を持っています。スゴイね。
リンク:小池書院website
ちょっとガッカリ
愛の話か…なんかイメージと違うな。勝手な思いこみではあると分かってはいるのですが、どうせならもっと、社会に対して、ねぇ。ちょっと譲ってといってはおかしいですが、サラリーマン金太郎、どくだみ荘、男塾、エロい漫画であって欲しかったと感じました。ケイという文字を何度も目にしているうちに、友達のケイ君のことを思い、ふと電話をかけてみましたが、あいにく仕事中のようでした。今回は、「トイレでご飯を炊いている人」に「おもしろそうな漫画を教えられた」ということになりました。以上、現場からお送りいたしました。
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